こんにちは。税務セレクターの原田です。
本日書かせていただく事は、先日からのイギリスのEU離脱問題を検証していきながら資産保全について考えてみようと思います。
アンティークコインのお話は、今回あまり語らずとも、読んでいただいたら”ピン”と来ると思います。
■2016年6月23日の「国民投票」から噛合わなくなった歯車
みなさんも注目していた欧州連合(EU)離脱をめぐって2016年6月23日に国民投票がイギリスで行われました。
国民投票前は、海の向こうの国の話なんで他人事のように感じていた方も少なくないと思います。
国民投票前の報道では残留派の勝利であろうと予測していたにも関わらず、蓋を開けてみれば離脱派の勝利となり、世界経済は大きく変わろうとしています。
特にイギリスは、連合国で王室や階級など様々な格式などがある複雑な国であるのですが、イギリスと言えば、「シャーロックホームズ」や日本でも大人気の「ハリーポッター」の原作の国ですから若い世代の方でもEU自体を知らなくても話題になりやすい内容になります。イギリスのEU離脱問題で当然ながら日本、いや世界経済にも大きな影響が出てしまったのも紛れもない事実です。
それではなぜイギリスはEUを離脱しようとしていたのか?
そして本格離脱後にどのような影響があるのか?
を分かりやすく解説していきます。
離脱が決定した翌日の各紙。ロンドンで25日撮影(2016年 ロイター/Neil Hall)
■お祭り騒ぎなってしまった「国民投票」
この国民投票は開始前から残留派と離脱派の激しい論争が巻き起こりました。
結果、離脱派の勝利でEU離脱が決定したのですが、実際は、政治的な混乱を招くようになり、今も続いています。世論の分断は拡大して、英議会のウェブサイトに集まった国民投票のやり直しを求める署名は350万人超に急増しました。
この350万人の中には元から残留派のやりなおしの声だけではなく、離脱派で投票しましたが、この国民投票を受けてのキャメロン首相の辞任やスコットランドの独立運動など自国の今後に不安を覚え、よくよく考えて国民投票のやり直しを求める声の方が多いのが現状となっています。
若い世代のイギリス国民のインタビューなどでは 「その場の雰囲気と勢いで離脱に投票してしまって後悔している」 などの声があがっているほどです。
正直言って辛口になるかと思いますが、将来の世界経済を心配する事は一国民として難しいと思いますが、目先の自国の経済不安や自分の資産の不安を国民投票後に感じるという事は、国家が国民に対して不安を与えすぎたと思います。
今や「情報社会」です。
メディアが騒ぎすぎたのが原因の一つでイギリス国民や世界の国民を不安にさせている事も挙げられるでしょう。
これは報道メディアの過度な情報が世界経済を脅かしている事の前触れかも知れません。
(写真:ロイター/アフロ)
■なぜイギリスはEUを離脱したかったのか。ご存じですか?
ではどうしてイギリスは、経済的なメリットのあるEUを自ら抜けようとしているのでしょうか。
ジョンソン前ロンドン市長をはじめとする離脱派の主張では、「国としての主導権を回復する」という事を掲げていました。
遠回しに主張していますが、分かりやすく言うと「実際、これ以上移民・難民を受け入れられない」ということです。
移民・難民達は、ごぞって「とりあえずイギリスに行けばなんとかなる。イギリスは素晴らしい国だ。」そうやってイギリスを目指して行くのです。
何年も前から議論されているように、ヨーロッパではほとんどの国において、シリアやイラク、北アフリカからの難民受け入れ問題が生じています。
その中でも、一番人気が高い国がイギリスなんです。
それはどうしてか?と言うと…。
イギリスは社会保障がしっかりしているからです。
正式な手続きを踏んで難民として受け入れられれば、福祉手当という金銭が与えられたり、無料で医療施設を利用できたり、確実に住居が与えられ、母国とは全く違う生活が保証されます。
実は、EU加盟国には“難民受け入れを拒否できない”という法律があります。
移民についても、特別な理由がない限り拒否する事は出来ません。
どうしてもイギリスが移民・難民受け入れを拒否、あるいは制限するには、EUを離脱しなければならないのです。
難民・移民をこれ以上受け入れたくない理由は、もっともな理由があります。
それは、国民の税金の負担が重くなるからです。
基本的に、難民の衣食住の費用負担は、国の税金から賄われます。イギリスは、特別裕福な国ではありませんし、むしろ、財政は弱くなっています。
自国の財政も安定せず厳しい状態で、本来使わなければならないところに税金が行かず、難民の受け入れ費用になってしまう、まさに国民の悪循環です。
移民が増えると一番の課題が、「仕事」です。
当然、移民はイギリスに来て、たらーっとたら遊んで暮らすわけにはいけませんので、仕事をします。
そうすると、もともとあった仕事をイギリス人と移民で奪い合うわけですから、イギリス人からしたらたまったものではないのです。
また、移民・難民が増えると他国の文化が入り混じってきます。
格式あるイギリス古来の文化喪失や治安の悪化などが目に見えるように現れてきたからです。
この件は、私たち日本人も他人事ではありません。イギリスと同じ似たような島国です。
これと似たような風景を見かけませんか?
最近、急に観光客が増えてきていませんか?
「爆買い」と言うワードが出来ましたが、実際、日本の景気は観光客の「爆買い」で潤っているのではないでしょうか?
コンビニなどでアルバイトをしている外国人の方々が急に増えてきてませんか?
一部の外国人の方のマナーに少しでもイラッとした事はありませんか?
国内の治安も外国人犯罪が依然に比べて増えてきたと思いませんか?
そうなんです。イギリス離脱派はこのような事例の積み重ねでEUの離脱に踏み切ったのです。
今後のEU諸国からの恩恵のウェイトより、今の現状を改善しないと離脱派は考えたのです。
日本もEUのような連合体に所属しているのであれば、今後このような課題が生まれてきたかも知れません。
(図解:東京新聞)
■では、実際に正式離脱してしまったらどうなるの?
EUを正式離脱してしまうとどのような影響が起こるのでしょう。
イギリスはEU加盟後もポンドを使いつづけている国ですが、一番大きな影響とされるのは、「ヨーロッパの中枢マーケットとしての地位陥落」です。
ざっくり言うと「独立・自立=ロンドンが見捨てられる」ということです。
現在、世界のマーケットは、3つの都市を中心に回っています。
・アメリカ圏の「ニューヨーク・ウォール街」
・アジア圏の「中国・上海」
・ヨーロッパ圏「イギリス・ロンドン」
この3つを中心にしてマーケットを回すことによって、24時間の取引が可能となるわけです。
ロンドンには各国の金融機関がこぞって拠点を置いています。イギリスがEUに加盟している現在、ロンドンに拠点を置けばEUのその他27か国でも許認可を求められず、自由にビジネスを展開できます。
イギリスがEUを正式離脱すると、これらの企業がロンドンからの撤退が余儀なくされてしまいます。
”ロンドンに拠点を置いても、ヨーロッパ進出や展開出来ない”
今後、金融機関の多くは、フランスは今治安が悪くテロの恐れが有る為に回避され、ドイツに移転されるのではと言われています。
そうなれば、多くの失業者が出るのは食い止められません。
また当然ながら、EUという大きなバックボーンを失い、独り立ちするのですからイギリスの国力の信用度の低下が発生します。
通貨の強さ = ”国の力”と言われるように、イギリスの通貨であるポンドの価値が低下します。
貿易が冷え込むため、景気が悪化します。さらにEUマーケット全体に悪影響を及ぼし、不景気に陥る可能性があります。
まさに今がその状態です。
■アンティークコインの立ち位置
上記で様々なことを書いてきましたが、私たちの資産は国の情勢によって大きく左右されてしまいます。
今後の世界情勢や世界経済ははっきり言ってどうなるか分からない状況です。
まさに「神のみぞ知る」なのです。
しかし、このような時だからこそしっかりと資産を保全していきながら、運用を考えていく時期に来ているのではないでしょうか?
アンティークコインの本来の姿は、「時の通貨」はもちろんですが、世界での内乱や紛争、経済不安の中で人から人へと運命の糸のように手繰らせられ、
「資産保全」
「運用手段」
「実物資産」
として世界各国を渡り歩いてきました。
中にはコレクションしていた大切なコインを今回の出来事でオークションに出され、一番良い通貨の為替差損で売買された方もいらっしゃるでしょうし、日本のように一時超円高時にコインを購入され、ドルやユーロの状況を見て売却し、為替差損で利益を出される方もいらっしゃるでしょう。
アンティークコインは、「収集できる資産運用手段」です。
ヨーロッパでは、今後アンティークコイン市場がますます盛り上がってくるのではないでしょうか?