こんにちは。ファイナンシャルアドバイザーのHamanakaです。
今回は切手投資とアンティークコイン投資の比較について書かせていただきたいと思います。
どちらも非常に実物資産として趣味を兼ねたコレクションとして楽しいながら投資出来る素晴らしい実物資産と言えるでしょう。
両社共に全く知らない方は、「本当に100万円分の珍しさがあるの?」「なんで切手に100万円も出すの?」「100万円で買って、100万円分楽しいの?」と思われるのが普通ではと思います。
価値を知っている方こそ、投資商材として購入し運用されているのが現状です。
実際に比較してみますと、切手もアンティークコインも「物」としてかさばらずコンパクトで持ち運びが自由にできるのが売りの資産です。
しかし、収集の観点から見てみると切手は、アンティークコインと違い、コレクション(集める)する事に関しては、抵抗がない商材と言えます。日本でも切手はいつの時代でも必ずブームがおきていますので、小さいお子さんから年配の方まで何世代にも渡って末永く収集されていらっしゃる方も多いと思います。その点から考えて見ると収集コレクションの文化が根強い日本では、投資目的でも比較的に誰でも入りやすい投資商材と言えます。
アンティークコイン取集の場合、日本でもコレクターの方も徐々に増加してきたとは言えまだ一般的に知られていないので「投資・運用」と聞かされてもピンとこないのがほとんどのケースと言えるでしょう。
価値の面に注目してみると、切手の中には、1,000万円、1億円以上で取引きされる非常に高価なものもありますが、やはり全体としてはごく稀なケースです。
切手市場を調査してみると、実際に現在取引きされている切手の大半が1枚あたり100円以下のものになります。切手は骨董コレクションの部類では、かなり手軽な部類に入り、その人の経済力や年齢に関わらず、誰でも切手収集を楽しむことができます。
実際の売買取引も一枚単位での取引は稀で、使用済み切手200g(約1,000枚)を1000円位で手軽に売買取引されているようです。
アンティークコインは?と言いますと、やはり大昔からユダヤ人や中国華僑の方々が好んで資産運用の為にアンティークコインを収集し、事業資金運用にしたり様々な錬金術の手段とされていましたので、収集顧客層は富裕層が多いと言われています。ですので数万円台の珍しいコインはもちろん有るのですが、正直コインを見た瞬間に「金貨」「銀貨」「銅貨」のイメージで欲しくても金額面でなかなか手が届きにくそうなイメージが定着しているのがアンティークコイン投資の特徴です。
「実物資産」としては切手、アンティークコイン共に安定しています。株であれば、株価の上昇や配当金・優待などの「実利のため」に、取得することもあるでしょう。切手もブームの頃のにぎわいはありませんが、欧米では将来的な資産形成のために、切手コレクションを築くという考え方があり、イギリスなどでは投資機関が運用のために値上がりの見込める有望な切手を取得することもあります。またアンティークコインもイギリスでは、退役軍人の報奨金としてアンティークコインを使用しており、希少性のあるコインを選定して渡したりする制度も実在しています。
【万国郵便連合会議ロンドン大会記念(イギリス・1929年)】
ジョージ5世を描いた最も有名な切手の1つ
(参考価格10~12万円)
切手も近年は中国切手の値上がりが話題になっており、希少性の特に高い19世紀の非常に状態の良い未使用切手は今世紀に入ってずいぶんと値段が上がりました。全体的に見れば、切手は緩やかな値下がり傾向にありますが、経済情勢や切手収集のトレンドによっては値上がりが期待できるものも存在します。こういう高額品に対しては、50万円とか、100万円単位の資金がさかんに動かされています。
【京劇のスター梅蘭芳の小型シート。値上がり著しい中国切手の代表的存在】
30年前は2万円ほどだったが、現在は100万円前後で取引きされています。
(使用済参考価格50万円)
アンティークコインも切手と同様にグレーディングされていますが、切手と大きな違いは正式な鑑定機関を設けており、特にアメリカの「NGC」「PCGS」がコインそのものの価値を鑑定し、保存状態からグレーディングして「スラブケース」に保存し、劣化や腐食を防ぐ加工を施してくれています。
やはり、切手もアンティークコインもどんなに希少性が高いものでも保管状態を基準にされている為、切手は切手アルバムに綺麗に保存していても、もともと「紙」で有る為、湿度や日光で色あせたりして保管状態に非常に神経を使ってしまいます。
切手コレクションを貸金庫等に厳重に保管していたとしても同様に保存状態は「紙」で有る為、難しいのです。
保存からみると、アンティークコインは金属で有る為、裸の状態であっても「金貨」は酸化せず、よほどの衝撃を加えない限り破損はしないですし、「銀貨」「銅貨」の場合でも多少の酸化はするにしても金属ですので同様に保存状態にそこまで神経を使う必要はないと言えます。鑑定機関の「スラブケース」入りのものであれば、そのような心配は一切不要となります。
もうおわかりの様に、保管場所が火事や天災(地震・水難)があった場合、切手は「紙」ですのでどうしても破損してしまうのです。
保管や保存状態の面でみると断然金属である「アンティークコイン」に軍配があがります。
上記と似たケースで言うと、切手は先代からコレクションとして大切に切手ブックに保管してあったとしても、引っ越しの際やおそうじをされた片付けの際に間違えて捨ててしまうケースもあります。材質が「紙」であり、小さなものであるが故の事があげられます。
投資商材としては、手頃に購入出来てコレクターも多く、市場が盛んに取引されていますが、保存状態としては「クラシックカー」での投資運用と同様に大変神経を使う商材と言われています。
かと言っても切手投資家やコレクターが切手を愛する理由としての最大の魅力は「芸術性」があげられます。切手には伝統的に一流の芸術家たちが起用されてきたこともあり、「小さな絵画」「小さな美術品」として鑑賞の対象とされています。絵画好きの方に切手投資家が多いのはそのせいでもあるのです。形にしてもコインは実際の通貨ですので使いやすさや流通に不便ではないかを判断し「丸形」「楕円形」が主流ですが、切手はハガキや手紙の大きさによって様々なサイズや形を世界各国で統一なく採用しているのもあり、小さな楽しめるものとして愛されているのがうかがえます。
【チェコ・スロバキアがオーストリアから独立した時に発行された普通切手】
芸術家アルフォンソ・ミュシャがデザインを手がけたもので、左下にクレジットも入っています。
(参考価格30円)
アンティークコインは切手と違い、芸術性からみると彫刻だけで色使いが出来ないし、見ていても面白くないとお考えの方も多いと思います。まさに「絵画好き」な方と「彫刻好き」な方のようなものです。
しかし、アンティークコインは実際の「通貨」で有る為、切手以上に歴史が長いし、デザイン性もバリエーションが多数あり、古代遺物としても博物館に展示されているものも多数存在します。時代を研究したいので有れば、その時代に発行されたコインを調べるのが良いと研究者達は口をそろえて言います。各国の政府も「通貨」であるが故に珍しいコインを収集し、博物館へ寄贈し研究材料にしています。
コインの表面にデザインされている人物が、ほぼ時の統率者であると推測されるので、そこから歴史年表を作成する手段にされていたりしています。また絵画とは違った繊細なタッチで風景をデザインされている「都市景観図」金貨・銀貨も当時の街並みを再現するのに貴重な逸品となっております。
【ドイツ レーゲンスブルク 1745 2ダカット金貨 都市景観】
「切手投資」や「アンティークコイン投資」のメリットはどちらも「コレクションしやすい需要性が高い」「芸術性が高い」と言う事です。
その中でも「保存・保管状態」や「購入・取引金額」の違いが大きく分かれてきます。
投資商材としてみるのであれば、やはり「保管・保存・保有」の安心さからアンティークコインが切手に比べると断然良い言えるでしょう。
購入した際の金額は「金貨」であれば、時の金の相場も有りますが、市場に大量に出回らない限り、歴史ものの骨董品ですから下がることはありえないでしょう。
現在、長年の切手コレクター兼切手投資家の方々が、色々な条件面から徐々に「アンティークコイン」に興味を持たれて、実際所有され「アンティークコイン」の魅力にはまり、切手からスライドさせているのが最近の傾向となっております。